顔に赤みがあって困っている、鼻や頬の血管が透けて見える、紫外線を浴びた後に酷く顔が赤みがかってしまう、などの症状がある場合は酒さ様皮膚炎の可能性があります。
酒さ様皮膚炎は中高年の女性の顔にみられやすい慢性の皮膚疾患で、一般的には赤ら顔と呼ばれるています。顔の赤みが酷くなり、小さな吹き出物ができたり血管が透けて見える症状もあります。特に毛細血管拡張症という皮膚疾患による赤ら顔は自然に治る病気ではありません。鼻や頬には毛細血管が密集していますので血管が浮き出て目立ち、気温の変化や飲酒、緊張などでより悪化したり非常に厄介な赤ら顔でもあります。
赤ら顔の原因は現在の医学をもってしても不明ですが、ホルモン的要因や遺伝的体質に環境要因、増悪因子が合わさって発症すると考えられています。そのため酒さ様皮膚炎の現れ方はひとりひとり異なっています。
１. 紅斑毛細血管拡張型
鼻の頭、頬、眉間やアゴの下に一時的な肌の赤みがみられ、次第に症状が慢性的になるのが特徴です。ほてり、ピリピリ、チクチクするような不快な症状や、肌荒れが目立つこともあります。肌の下にある血管が透ける症状も見られます。なんらかの外部刺激によって、症状が悪化してしまうタイプです。
２. 丘疹膿疱型
顔全体に広がる肌の赤み症状に加えて、盛り上がったブツブツ（丘疹）や膿がたまった水ぶくれ（膿疱）ができます。
３. 鼻瘤型
鼻が凸凹と肥大し、毛穴が目立ちます。丘疹が集まって固まりになっているのが特徴です。皮膚が厚くなり、腫れぼったく見え、鼻がミカンの皮に似た見た目になる「鼻瘤」が現れるタイプです。
４. 眼型
眼の周りの脹れや結膜炎、角膜炎、涙目、充血、腫れぼったさなど、目の周囲に症状が現れるタイプです。角膜の合併症を引き起こす可能性もあります。
酒さの症状には個人差があり、１つの病型だけではなく複数の症状が当てはまる場合もあります。また、それまで出ていた病型の症状とは異なり、新たな病型へと変化することもあります。
セルフケアで酒さ様皮膚炎を治す事は非常に困難なため、まずは医療機関への受診をお勧めします。
酒さ様皮膚炎の治療は世界的に確立されている有効な治療法が多いのですが、残念な事に日本における酒さ様皮膚炎の治療は欧米に比べて非常に遅れています。日本皮膚科学会などの国内の団体はこれまで何度か薬剤許可の申請を厚生労働省に提出していますが現時点ではなかなか変化が見られません。欧米で有効とされ推奨されている酒さ様皮膚炎の治療法の多くが未だ日本では保険適応外となってしまいます。
当院では日本で保険適用可能な治療法と保険適用外にはなってしまうのですがグローバルスタンダードの治療を併用しながら酒さの治療を行っております。
また、長期に及ぶステロイド外用が原因で「酒さ様皮膚炎」が起こっているときには、医師の診察結果によっては中止指示を出すこともあります。
– Vビーム：色素レーザー治療（保険適応外の場合もあります)
ダーモスコピーで毛細血管拡張症が認められる部分には色素レーザー（Vビーム）治療を行います。
ただし、レーザー治療は1度で解決するものではございません。複数回の治療、通院が必要です。
※ 酒さの場合、「病型１：紅斑毛細血管拡張型」のような症状が出ているときには保険適応となります。これ以外の症状に対しては、自費での治療になります。
– テトラサイクリン系抗生物質内服
海外では2006年から低容量ドキシサイクリン徐放カプセルが酒さに対してFDA（アメリカの厚生労働省にあたる機関）で認可されましたが、日本では認可されていませんので、ビブラマイシンやミノマイシンなどを処方しています。
- イオウカンフルローション
– 各種漢方薬
東洋医学では酒さは「瘀血（おけつ）…血流鬱滞、微小循環障害」の体質があると考えられています。そのために血流を正常化するような駆瘀血剤を内服していただきます。（例：桂枝茯苓丸など）
– アゼライン酸クリーム
– メトロニダゾール外用剤
– レチノイド外用剤
– イソトレチノイン内服
酒さ症状の出現に個人差が大きく出る疾患ですのでこれら全てを組み合わせて行う事となります。必ず医師の診断を受けてから治療を開始してください。
酒さ様皮膚炎の原因は未だ解明されていませんが、ストレスや生活習慣、食生活やホルモンバランスの乱れなど悪化因子は多く知られています。市販の薬を使用しかえって悪化してしまうケースも多々見られます。赤ら顔に悩んでいる方はまず医療機関へ相談し、適切な治療を開始しましょう。
当院では保険適用可能なVビームという通常の皮膚科では扱っていない特殊な波長を持ったレーザーを導入しています。保険適応治療と保険外治療を上手に組み合わせながら治療計画をしっかりと立てて患者さま一人ひとりの症状を改善していきます。
酒さは適切な治療を長い目線でしっかりと継続すれば改善できます。健康な皮膚を整えストレスのない生活が送れる事を目指します。
肌の状態を確認して、生活習慣やステロイドの利用状況などを確認します。治療薬を決定し、レーザー治療が適切な症状かどうかを診断します。
内服薬や外用薬など処方するお薬の使用方法等を説明します。また日常生活における注意点などを説明し、日々のお肌のメインテナンスを指導します。
レーザー治療が可能な場合は予約をして頂きます。施術時には化粧を落として頂き、必要に応じ麻酔をして行います。照射時に輪ゴムで弾かれたような痛みがあります。
酒さ様皮膚炎は長期に渡り地道な治療が必要となります。治療計画を立て次回の来院日を決定します。またレーザーも複数回必要なため、次回の予約をして頂きます。
お会計時に処方箋もしくはお薬をお渡しします。当院では、お肌に優しいドクターズコスメを多数取り扱っているのでお気軽にお問い合わせください。
ホームケアは大事な治療の一環に当たります。医師の説明に従い、日光暴露を出来る限り避け、肌に優しいメインテナンスを次回の来院時まで継続して頂きます。
– Vビーム：色素レーザー治療（保険適応の場合)
照射面積㎠/負担割合 | ３割負担の場合 | １割負担の場合 |
|---|---|---|
10㎠ | ￥６,５１０ | ￥２,１６０ |
20㎠ | ￥８,０１０ | ￥２,６７０ |
30㎠ | ￥９,５１０ | ￥３,１７０ |
40㎠ | ￥１１,０１０ | ￥３,６７０ |
50㎠ | ￥１２,５１０ | ￥４,１７０ |
60㎠ | ￥１４,０１０ | ￥４,６７０ |
70㎠ | ￥１５,５１０ | ￥５,１７０ |
80㎠ | ￥１７,０１０ | ￥５,６７０ |
90㎠ | ￥１８,５１０ | ￥６,１７０ |
100㎠ | ￥２０,０１０ | ￥６,６７０ |
110㎠ | ￥２１,５１０ | ￥７,１７０ |
120㎠ | ￥２３,０１０ | ￥７,６７０ |
130㎠ | ￥２４,５１０ | ￥８,１７０ |
140㎠ | ￥２６,０１０ | ￥８,６７０ |
150㎠ | ￥２７,５１０ | ￥９,１７０ |
160㎠ | ￥２９,０１０ | ￥９,６７０ |
170㎠ | ￥３０,５１０ | ￥１０,１７０ |
180㎠ （上限） | ￥３２,０１０ | ￥１０,６７０ |
※ レーザーの保険適応は３ヶ月に１度の照射となります。その間の間隔は、V- ビームフェイシャルとして自費治療を行う方もいます。
① 自身の悪化因子を理解する。
酒さのはっきりとした原因は分かっていないものの、過度の紫外線刺激、精神的ストレス、飲酒、刺激物の摂取、肝機能障害などに加えて、一般的には温めたり熱くなること、冷たい風を顔に当てること、スパイシーな食べ物を摂ることが悪化因子と言われています。それぞれの患者様がご自身の悪化因子をしっかりと理解することが大事です。
② 紫外線は出来る限り避ける。
酒さにおける紫外線の対策はとても重要です。いくら気をつけても気をつけすぎる事がないくらいです。
・日焼け止めクリーム（SPF 30以上）を毎日塗りましょう。
・日中の日差しをなるべく避けましょう。
・外出時は日陰を探しましょう。
・つばの広い帽子をかぶりましょう。
・紫外線カットの衣類やサングラスを使用しましょう。
③ 刺激をせず肌に優しいスキンケアを心がけ、医療機関にて適切な治療を継続する。
酒さの方の皮膚は非常に敏感です。とにかく皮膚に過度な刺激を与えない事が大切です。マイルドな化粧品を正しく使用しましょう。
酒さという疾患をしっかりと理解し、ご自身の悪化因子を避けることと同時に正しい治療を行う事が非常に重要です。その上で上手にコントロールしながら長期に渡って徐々に治療していく病気です。
酒さや顔面毛細血管拡張症という病気は欧米では患者の数が多く認知度が高いことから治療方法も確立/発達しています。日本ではあまり知られていないだけで、実は多くの方が赤ら顔の症状に悩んでいます。皆様もお気軽にぜひご相談ください。